瀧本 恭平

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  • 年齢34歳

  • 出身地 福岡県

  • 結婚 既婚

  • 海外経験なし

  • 職業 美容師

  • 勤務地 東京都

  • 会社名アルジャーノン

  • 出身校 大村美容専門学校

  • 専攻 美容科

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3 Points

もともと調理師志望だったが、とある理由で美容師を目指すことに

大手美容院で腕を磨いた日々

独立準備のため大手を退職し、技術だけでなく経営についても勉強中

岩田真一

聞き手

岩田真一

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地元の福岡について

Q 瀧本さんは福岡のご出身ですね。地元について教えて下さい。

福岡の市内ではありますが、佐賀県との県境で山に囲まれているような場所で生まれ育ちました。遊びといえば川や山でしたね。親が「外で遊べ」という方針だったこともありますが、今も釣りは趣味ですし、思い返すと自然の中でとても良い幼少期を過ごせたと思います。今も旅行に行ったりしてバスを待っている間など、草笛を作って奥さんに教えてあげたりしています。また、とても小さい町だったので近所の人との関わりがとても大事でした。お年寄りも多かったです。近所の色々な人たちと世代を超えてコミュニケーションをする機会がありました。おかげで人見知りをしない性格になり、今の美容師という接客業には役立っていると思います。それとお祭りや行事などで、近所の人達と一緒に自主的に手伝っていまた。忙しそうな人がいたら、自分の仕事かどうか、などと考えずに手伝おうという性格も、自然にその時に身についたかもしれません。

Q 自然の中で育つというのは羨ましいです。地域のコミュニティを通してボランティア精神を身に付けられた、というお話は新鮮です。ところで瀧本さんは昔から美容師になりたかったのですか?

いえ。最初は調理師になるつもりでいました。小学校1年生くらいから何となくそう思っていましたね。勉強もあまり好きじゃなかったし、料理は得意だったので。

中学校時代

Q 高校受験はどうでしたか?

公立高校に一般入試で入りました。公立にしては珍しく面接がありました。自分の行ける範囲、家から近い、そんな理由でした。親に負担を掛けたくないという思いもありました。

中学時代から親に負担を掛けたくないという気持ちは、随分大人びているように感じます。

いえ、単に親から「私立は無理」と言われていたので(笑)

就職 〜 大手美容院

Q そして瀧本さんは大手美容院の社員となり腕を磨いていくわけですが、大手美容院で働くメリットはなんですか?

切磋琢磨できること、研修が充実していること、最新の技術や薬剤を試せることです。先輩や同僚の施術を間近で見ることもできるし、後輩の指導を通して学ぶこともありました。また独立に向けた実践的なこととしては、お店で長年購買も担当していたので、在庫管理なども身につけることが出来ました。

Turning Point

高校・専門学校時代

Q その後瀧本さんは美容専門学校に進むわけですが、調理師から美容師へ切り替えたのはなぜですか?

美容師に切り替えたというより、まず調理師になることをやめました。その本当の理由は、実は親にも言っていないのですが(笑)、調理師は髪の毛を染めたり、ピアス開けたりできないと分かったからです(笑)。高校を卒業したら色々おしゃれしたいと思っていたので、それが出来ないと分かってショックだったんです。実際、高校3年生のときに調理師学校の説明会で質問してしまいました。そしたらもちろん「ダメです」と言われて。。。それでなぜ美容師かというと、昔から弟の髪の毛を切るのが自分の役割りで、上手だと親にも褒められていて好きだったこと。それと当時美容師だった従兄弟がいたので、色々話を聞いて決めました。

Q まさか髪の色とピアスとは!その理由は言わなかったとしても、その決断に親御さんは驚いたんじゃないですか?

はい。学校の先生との三者面談で先生にも親にも突然言いましたので、驚いていました。ずっと調理師を目指すと思っていたので。その場では先生も応援してくれて、親も本気なんだったらいいよ、と言ってくれました。実は美容専門学校は学費が高かったのでなかなか親に言い出せなかったという面もあります。

Q 当時美容師だった従兄弟にお話を聞いたとのことですが、参考になったんですね。

はい。とても率直に現役の美容師の話を聞けたのは良かったです。楽しいけどキツイところもある、と。楽しいのはやはり「髪型を作る」という点。自分が美容師になり、かっこいい髪型を作る楽しさに憧れました。キツイ点としては、手荒れがひどい、下積みの期間が長い、先輩に怒られる、などでした。美容師になってみてキツイことは事実でしたが、その時は髪型を作る楽しみの方が大きくて気になりませんでした。

Q その後美容師になってみて、現実には楽しいところばかりではなく従兄弟が伝えてくれたキツイ点も体験することになったと思うのですが、いかがでしたか?

はい。本当に従兄弟の言うとおりで、キツイところはありました。でも事前に聞いていたので「ああ、この事か」と思いました。従兄弟も歩んだ道なんだと思ったらそれほど苦痛というほどではありませんでした。もし事前に従兄弟からキツイ面を聞くこともなく楽しさだけを求めてこの仕事についたら、ひょっとすると悩んでいたかもしれませんね。

シミュレーションできているのと、いないのとでは受け取り方が違いますよね。従兄弟に感謝ですね。

はい。とても良かったと思います。もっともその従兄弟は今は美容師をやめて飲食店をやっているんですが(笑)。

Turning Point

転職

Q その大手をつい先ごろ退職されて先輩のお店を手伝っていますよね。その理由は何ですか?

ずっと考えていたことなのですが、独立を見据えてのことです。いきなりは難しいと思っていて、先輩ですでに独立している人のお店で勉強を兼ねて働かせてもらっています。約13年間大手で仕事をしていましたが、なんとか30代のうちにお店を出したいと思いました。

Q 何かきっかけはあったんですか?

僕の場合は結婚です。妻は元同僚でカラーリストなんです。いつかはお店を出す、と漠然と思っていた気持ちが、妻と一緒にお店をやれるという具体的なイメージが出来たことが大きいです。いずれこうなりたい、と思っていた気持ちが一番高まったという感じです。

Q それは素敵な挑戦ですね。瀧本さんにとって、そもそも独立してお店を出すということに対する理由はなんですか?

もちろん収入面での期待はあります。と同時に何かに挑戦したい気持ちがありました。「自分自身の何か」を自分でゼロから作りたいという願望もあります。もちろん不安もありますが、軌道に乗らなかったらまた別のことにチャレンジすればいい、と少し楽観的に構えています。せっかく「手に職をつける」道を選んだわけですから、自分のやりたいことをガンガンやっていかないと意味が無い、とも思っています。

やりたいことをやるとき、転職するときなど、一番大事にするのは自分の気持だと事前アンケートでお答えになっていましたね。

はい。もちろん今は家族がいるので家庭のことも考えますが、家庭が大事だからこそ自分がやりたいことを家族に提案、説明します。それが一番やる気が出て、家族に感謝しながら最高の結果に繋がると思っています。

Q 今は先輩のお店で独立に向けた準備中ですよね。敢えて聞きますが大手を辞めたことによる後悔や不安はありませんか?

正直あります。やはり少し後悔もありました。大手にいた頃は社内の勉強会や店舗対抗の社内コンテストがあったり、皆で頑張っている実感がありました。その中で着実に最新トレンドを掴みながら良いプレッシャーを感じて仕事をしていました。大手では頑張らないと「その他大勢」として埋もれてしまうので、どんどんアピールする必要もありました。それが急になくなって、腕が落ちていくんじゃないか、という不安があります。美容雑誌の読み方も変わりました。以前はトレンドを追うようにさっと読む程度でしたが、今は実際に他の美容師さんが何をしているのか気になるようになり、動画サイトでテクニックを見るようにもなりました。会社任せではいられないので、自分から率先して勉強しなきゃ、という気持ちです。買い物している時なども美容ツールを見て回ったりするようになりました。

Q そういった意識の変化も独立に向けた大きなステップなんでしょうね。少しさかのぼりますが、学生時代に身につけておけばよかった、教えて欲しかった、ということにプレゼンテーションと英語を挙げられていますが、それぞれその理由を教えて頂けますか?

プレゼンテーションスキルの必要性は以前大手の時に痛感しました。社内で物事を説明するとき、コンテンストの時などに「うまいな〜」と思う人がいたからです。思ったことを効果的に伝えるテクニックというものがあるのなら、もう少し身につけたかったです。段取り、言葉選びなどで苦労しました。英語に関しては単純に外国人のお客さんとのコミュニケーションですね。施術中の会話は美容師にとって大事なのですが、話が続かないのは自分でもどかしいです。

Q 独立に向けて動き出したタイミングとしてはいかがですか?

遅かったと思います。もう少し早ければ良かったと後悔しています。30代でお店を出すにはギリギリなので想定範囲内ではあるものの、もう少し早ければよかったと思います。でもそれは今思い返すと、ということです。13年間大手にいて良い経験にはなったが、自分と向き合って本当の本当にやりたいのは?と問われたらお店を出すこと、でしたから、それならもっと早く独立に向けた決断をするべきだった、と思いました。

Q お仕事のある日とオフの1日の過ごし方を教えて下さい。

仕事のある日は6時半に起きて7時頃家を出ます。8:20までには出社して9時の開店準備を手伝います。お店は22時までなので遅くてそれくらいです。今はシフト制なので予約が入ればギリギリまで施術しますが、入らなければ平均すると19時〜20時にはお店を出る感じです。大手にいた頃と違って施術中以外は休めます。ただ今は技術に対する報酬のみなので、空き時間は勉強したりもしますが、暇をもてあます辛さは感じています。やっぱりお客さんがいる時間が幸せです。 オフの日も朝はいつも通り6時半ごろ起きます。洗濯などの家事をしたり、いわゆる完全オフです。家にずっといるということはなく近場であったとしても散歩したり外に出るのが好きですね。

Q 最後にこれまでを振り返って訴えたいことなどあれば教えて下さい。

こうしたいと思うこと、必要だと思うことがあるなら、すぐに手を出してみることが大事だと思っています。「これやっといたほうがいいかな〜」と思ったら直ちにやることかな。あと人付き合いはどんな仕事でも(特に接客業では)必要になるので、意識的に身につけようという姿勢も大事かな。例えば美容師などの接客業でもお客様との話題を持つため、お客様をより深く理解するために、スポーツ、芸術、ニュース、経済などできるだけ多くの話題や知識を持っておくことは大事だと思います。一方、「空気を読む」みたいなことは仕事をしたり経験を積まないとわからないこともあると思います。

ご自身のお店のオープン楽しみですね。瀧本さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。

どうもありがとうございました。