レポート: 未来スケープ発足の背景(6) 〜 今後就職に対してどのように向き合えば良いのか

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今後就職に対してどのように向き合えば良いのか

日本の新卒一括採用がある環境は恵まれていると書きました。海外の企業は一括採用ではなく、その時に企業戦略上必要な、あるいは欠員が出たポジションにだけ募集をかけます(オープンポジションと言います)。そのポジションを学生も転職を希望する社会人も同じ条件で勝ち取ろうとします。経験に劣る学生は学生時代、積極的にインターン制度を活用します。学生ながら企業で実際の業務のアシスタントなどをして経験を積み、来る就職活動に備えます。日本ではこのような変化が急激に起こるとは考えられませんが、実際にヤフージャパンは2016年、社会人経験のない新卒者を通年採用する仕組みを導入しました。

また経済同友会では新卒一括採用による「ワンチャンス就活」の是正を提唱しています。就職活動を大学卒業後に開始するということを念頭に置き、既卒者を通年で採用する「通年採用」、あるいは原則卒業後5年程度の既卒者を新卒採用に組み込んで同様に採用する「新卒・既卒ワンプール」という仕組みです。先述の経済同友会のアンケートによるとすでにこの仕組みを導入済み、あるいは導入を検討している、検討したいと回答した企業は全体の71.2%になっています。

経済同友会資料より(*ソース

これから社会人になる学生、そしてその学生を子に持つ親ははこの流れを理解するべきだと思います。

転職が大企業でも一般的にになるまでには時間がかかるでしょう。しかし入社タイミングに関してはこのような上記のアンケートのような企業の思惑が現れ始めています。

私自身も「第二新卒」という扱いで就職した経験があります(新卒・既卒ワンプール)。実際に就職してみないとその会社が本当に自分に合うかどうかは分からないので、当時は珍しかった第二新卒制度には感謝しています。今後長い時間をかけて「都度採用」が増えると仮定すると、その分新卒一括採用の枠は減っていきます。雇える社員数には限界があるのでレイオフも一般化していくかもしれません。すると社会人にとっての就職の考え方は「会社に所属する」から「プロになる」へ変わっていくことが求められるでしょう。雇用者と被雇用者はより対等な関係になり、被雇用者が雇用者を(メディアで買い手市場、売り手市場という言葉で議論されることとはまた違った意味で)選ぶようになり、自分のプロフェッショナリズム、専門知識、専門技術をより活かせる(あるいはより高く買ってくれる)環境を求めるようになっていくと思われます。

欧米の採用は元来そのような仕組みで成り立っています。このような話を聞くと、中には次のように考える人がいるかもしれません。「安定が失われる」「殺伐とした競争の世界が始まり格差が広がる」あるいは「日本の『和』を重んじる企業文化や社会が消失する」と。これらの漠然とした不安について考察してみます。未来スケープが危険視するのはこの「漠然とした」不安にとらわれてしまい、あるべき状況への移行が滞ることでもあるからです。

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