レポート: 未来スケープ発足の背景(9) 〜 日本の「和」は企業文化や社会から消失するのか?

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日本の「和」は企業文化や社会から消失するのか?

「和」を大切にする日本人ならこの「競争」に対して上手に適応すると私は楽観視しています。

同程度の能力を持つ人たちの中で、人一倍努力して成果に貢献した人と、ひとごとのように物事に取り組んであまり貢献しなかった人と同じ評価であることは平等や和ではありません。日本人が世界に誇る和の根本的性質は「気遣い」だと私は考えています。頑張った人を褒め称え、報われなかった人に激励の言葉をかける。そのような人と人との関係性を重視する態度が和なのだと思います。

仮に貢献度によって差をつけず、頑張っても頑張らなくても同様に評価するとしたら、それはは平等とは言えず、頑張る人を減らしてしまうことになります。それを続けると完璧な管理社会でない限り、誰も頑張らない弱い社会になってしまいます。

きちんとした評価基準に基づいて、適性に評価されることが本質的な平等です。そうは言っても生まれながらにハンディを背負った人もいれば、最初から有利な立場で人生を送ることが出来る人も中にはいます。しかしそんなときにこそ、強者が弱者に対して優しくなり、弱者にも同様の機会を与えることに知恵を絞ることが日本人が実現してきた「和」の精神であり、それによって平等が達成されるのではないでしょうか。

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