未来スケープ発足の背景(16) 〜 開始から8ヶ月。これまでの気づき

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開始から8ヶ月。これまでの気づき

発足から約10ヶ月が経過し、すでに多くの気づきや学びがありました。そのうちのいくつかを共有します。

人生シェアリングはインタビューを受けた人にもメリットがある

人生シェアリングではごく一般の社会人をインタビュー対象としています。インタビューに応じて頂いた方々の多くは、これまでにメディアにインタビューをされる経験があまりありません。皆さんインタビューの開始時には「自分の人生は面白くないですよ」「自分の人生でお話することはあまりありませんよ」とおっしゃいます。ところが実際にお話を伺っていると、そのようなことは全くありませんでした。インタビューに応じていただく方々ご自身にとっても意外なほど沢山のドラマティックなエピソードがあるのです。

インタビューという形式によって、普段あまり意識することがない自分自身の人生に向き合う貴重な機会になっているようでした。また若い世代のために、自分のこれまでの生い立ちを語るという行為自体が次世代へバトンを渡す素晴らしい行為だということも分かりました。人生シェアリングの本来の目的は若い人の人生シミュレーションの喚起と、その親世代へ向けた「子と一緒に子の人生を考える姿勢」の必要性理解向上ではありますが、インタビューに回答いただいた方々にとってもメリットがあることは良いニュースでした。

インタビュー終了後、自分が生きてきた道のりを実感することで自信とやる気が湧いてきている、インタビュイーの皆さんからは、そんな印象を受けました。

インタビューを通じて、親しい友人をさらに深く知ることができた

インタビューを受けていただいた人の中には私自身の長年の友人もおります。彼らとは仕事やプライベートで何度となく話をしてきているはずなのですが、インタビューの形式に則って幼少期から話を聞いていくと、驚くほど自分は彼らのことを知らなかったのだということに気付かされました。彼らのこれまでの生い立ちを知ることで、普段の言動やこだわりの理由が分かり、より深いレベルで友人を知ることが出来たのです。

つまり既知の友人・知人をインタビューするインタビュワーの側にも大きなメリットがあることに気づきました。このことは「今後のプラン」の項でも後述するようにピアインタビュー、リレーインタビューというアイディアに結びつきました。

親とともにワークショップに参加することの効果

未来スケープで実施したワークショップの参加者の中には中学生や高校生のお子さんと一緒に参加される方々がいます。未来スケープのターゲット像として若い世代とその親世代を想定しているのですが、その観点から見るとこれは理想的な状況だと思いました。

価値観が大きく変わっていく現代において、もはや親は自分自身の経験だけで子どもにアドバイスすることは出来ません。親の世代もそのことに気づいて子どもたちと一緒に、子どもたちの世代の幸せ、生き方を共に学ぶことがとても大事なのです。もし若い人たちだけが未来スケープの人生シェアリングや、ワークショップで啓発され、そのことを親に話した時に、親がついていけないという状況は十分にありえます。若い世代にとって親の承認は大きな励みになりますし、親世代が自分たちの時代では有効だった価値観に固執すると若い世代は生き方を考える前に、親の説得というコストを背負ってしまうことになります。

ワークショップに参加された親子が共に同じ場所で他の参加者と語り合うことで世代間による価値観のギャップを埋める効果もあると感じました。このことは今後のワークショップで親子参加チケットを用意するというアイディアに結びつきました。

日本だけの問題ではない

未来スケープの活動を開始したおかげで、新たなネットワークを構築することが出来ました。そんな中、海外の方にも当活動について説明する機会も増えてきました。

驚いたことにアジアやヨーロッパの方から「自分の国も同じだ」「未来スケープが必要だ」という反応がありました。これは当初全く想定していなかった反応でした。なぜかというと、未来スケープを始めるきっかけは、私自身が外資系企業勤務を通じて欧米と日本の違いを知り、日本人の閉塞感や幸せに対する一義的な発想などに対する疑問だったからです。アジア諸国やヨーロッパでも同様の問題があるということを知ったことで、未来スケーププラットフォームの多国語対応というアイディアが生まれました。

 

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