佐藤 まり子

0012

  • 年齢31歳

  • 出身地 神奈川県

  • 結婚 既婚

  • 海外経験なし

  • 職業 Webサイト制作

  • 勤務地 東京都

  • 会社名1design

  • 出身校 明治大学

  • 専攻 情報コミュニケーション学部

Image Title

3 Points

コンプレックスがあり自己主張が苦手な幼少時代

中学受験で得た自信と剣道との出会いが人生を変えた

フリーランスとして独立。現在オランダへ移住計画中

インタビューの前に

おとなしかった佐藤さんは、進学塾と中学受験を通して少しずつ自身を持てるようになりました。中学で出会った剣道は今も続けていて五段の腕前だそうです。剣道部の運営では人間関係に悩みましたが、その経験は今の仕事のマネジメントに生かされているそうです。自分のやりたいこと、心地よい働き方を模索した結果現在はフリーランスになられています。

岩田真一

聞き手

岩田真一

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幼少期

Q 幼少期の佐藤さんはどのようなお子さんでしたか?

おとなしい子供でした。横浜市ののどかな住宅街で育ちました。厳しいクリスチャンの幼稚園に通っていて、朝が早いのと制服が嫌だった思い出があります。

小学校時代

Q 小学校では背が高いのがコンプレックスだったそうですね?

そうなんです。背が高いのがとても嫌で... 勉強もそれほど出来なかったし、運動もあまり得意じゃないし、喘息持ちで病気がちだったし、自分の顔も男の子っぽく思えて好きではなかったです。そういうことがあったので自己主張が苦手な子でした。

ー 今も道場で剣道をバリバリ続けている佐藤さんからは想像できませんね。

そうですね。とにかく当時は自分に自信が持てませんでした。

Turning Point

小学校時代2 〜 塾に通い始める

Q そんな佐藤さんの最初のターニングポイントは中学受験だったそうですね。

はい。中学受験をきっかけに自分に自信を持てて、自己主張もできるようになりました。中学受験は自分にとって大きな転機でした。

Q 中学受験は自分で希望したのですか?

いえ。小学校4年生のときに親から塾に通うように言われたのがきっかけですね。両親は特に勉強に関して熱心だったという印象はないのですが、自分一人では勉強しないだろう、という理由で塾を勧めたんだと思います。

Q 塾はいかがでしたか?

最初は辛かったです。塾に行く意味も分からなかったし、先生も厳しかったので。

ー 進学塾だったんですね。

はい。それはもう絵に描いたような厳しい塾でした。場所も雑居ビルの中で、建物もボロボロで見た目も怖いし、先生もとても怖かったんです。煙草スパスパ吸うし、教室には何故か竹刀が置いてあるという。最初の1年間は厳しくて、怖くて、勉強のやり方も分からないからとにかく嫌でした。

Q その後勉強が楽しくなるきっかけみたいなものがあったのですか?

塾の先生の勧めで日曜日は外部の模擬試験を受けるようになったんです。そしたら問題がとても簡単に思えました。その時、自分が通っている塾は厳しい分、ちゃんと実力が付いていたんだと思いました。5年生になり怖かった塾の先生にも話ができるようになり、段々楽しくなってきました。それまで自分で何かに没頭した経験がなかったので、頑張った分だけ成績が伸びる勉強にのめりこみました。家族で外食するときもテキストを持っていくくらいハマっていました。

中学受験

ー ご家族との外食にテキスト持参はすごいですね!その頃には受験をする方向だったのですね。

はい。完全に受験モードです。6年生なった時に塾の先生から、もう一つ別の受験用の塾にも行くよう勧められて、週末の模擬試験だけの塾と合わせて3つ掛け持ちしていました。

Q 物すごく忙しい小学生ですね。そして希望していた中学校には入れたのですか?

第一志望は合格できずに第二志望の中高一貫の女子校に合格しました。結果論ですが入学した学校はとても自分に合っていると思いました。

中学校

Q どのあたりが自分に合っていると思ったのですか?

まず学校がある鎌倉という場所も気に入っていました。校舎もとても気持ち良くて毎日通うのが嬉しかったです。学園祭などのイベントの盛り上がり具合(?)も自分にはちょうどいいし、何より「剣道部」があったのが良かったです。

Q 「自分にあっている学校」といい切れるのはとても素晴らしいことですね。そして今も続けている剣道との出会いがあったわけですが、そもそもなぜ剣道に興味を持ったんですか?

ズバリ身長がこれ以上伸びないようにするためです!先程も言いましたが、私は背が高いのが嫌だったんです。小学校6年生の時点で身長が165cmもあったんですよ。それで「竹刀で叩かれたこれ以上伸びなくなるのでは」と思ったのが最初のきっかけで剣道部の見学に行きそのまま入部しました。身長への効果があったかどうか分かりません(笑)。剣道は勉強と同じで積み上げた(努力した)分だけ結果として現れるところが良かったのかも知れません。先輩たちは厳しいし怖いけど頭も良くて尊敬していました。

Q 剣道に興味を持ったきっかけ面白いです笑。何かに打ち込めると毎日が充実しますよね。

中学時代は剣道も勉強も凄く楽しかったです。何かに没頭して、努力して、その成果が見える、ということが自分は好きなんだと思いました。

Q もし仮に中学受験をせずに公立の中学校に行っていたら自分はどうなっていたと思いますか?

受験勉強をしなかったら自信を得ることもできなかったと思うので、そのまま暗い性格の生徒になっていたと思います。学区内の公立中学には剣道部もありませんでしたから剣道との出会いもなかった。おそらく好きだった美術部に入部していたでしょうね。そういう意味では本当に中学受験は私にとってのターニングポイントだったと思います。

高校時代

Q 一貫校ですからそのまま高校へ進学ですね。高校時代はいかがでしたか?

高校1年生までは中学時代と変わらず楽しく充実していました。身体も丈夫になり、剣道も順調で大会で優勝することもありました。勉強もできたしとても楽しかったです。でも2年生になった頃から剣道部の同級生や後輩との人間関係で悩むようになりました。

Q それまで楽しかったのに、急に何があったんですか?

まず同級生ですが、どうも自分以外の人たちはそれほど剣道を一生懸命やろうという気持ちが強くなかったみたいです。もうこのまま引退してもいい、というようなことを言われてショックでした。この頃は部長を任されていたということもあって、後輩の中には私の運営方針が気に入らない子もいて、とても悩みでした。

ー それはつらいですね。僕も中学時代は卓球部の部長だったので同じ経験があります。中学生や高校生が同学年やひとつ下の人をマネージするって本当に大変ですよね。皆まだ子供ですからね。

部長というプレッシャーもあって辛かったです。本気で転校したいなと思いました。

Q 状況は改善しなかったのですか?

あまり改善はしませんでしたね。色々嫌になってしまって1ヶ月くらい学校に行かない時期がありました。その間は近所の不良の幼馴染と一緒に遊んでいて、髪の毛染めたりピアス開けたりして...

Q 手のかからない優等生だったのに(笑)。プチグレですね。ご両親は心配しませんでしたか?

両親はその時なにも言いませんでした。それはとても助かりました。

Q どうして学校に戻る気になったんですか?

いつも一緒だったその不良の幼馴染が「学校に行けば」と言ってくれたんです。自分はグレてるくせに(笑)。

Q それはちょっといい話ですね。「本当は学校に行かなきゃ」っていうオーラが佐藤さんから出ていたんじゃないかな、と思います。良いお友達ですね。それで学校に戻ったんですね。

はい。剣道部の先生とはギクシャクしてしまい、それから話していません。いつかその先生と再会することがあればお話してみたいと思っています。

Q 高校での剣道は不完全燃焼だったわけですね。なかなか自分だけではうまくいかないから難しいですよね。当時の佐藤さんと同じ悩みを持っている中学生や高校生の「部長さん」はたくさんいると思うな〜。その他、高校時代で楽しかったことはありますか?

インターネットとの出会いです。中学校までは剣道部の先輩たちとはFAXでやり取りしていたのですが、それが携帯のメールに変わりました。自宅に父のパソコンがあったのでホームページビルダーでWebサイトを作ったりしていました。掲示板を設置してインターネット上の人たちとやり取りできるのを体験して、インターネットの楽しさに目覚めました。

ー 現在フリーランスとしてWebサイト制作をしている佐藤さんの原点ですね。もともと美術も得意だったということですから、きっと自分でWebサイトがデザインできるところも楽しかったんじゃないでしょうか。

そうですね。作り方を学びながらデザインしていく、というところは自分に合っていましたね。

大学受験

Q 美術も得意だった佐藤さんは、大学受験で美大を考えたりはしなかったのですか?

実は少し考えていましたが、高校3年生になる直前くらいに普通の4大に決めました。周りも皆そうだったし、中学受験のときのようにまた勉強して努力してチャレンジしたいっていう気持ちが強かったと思います。

Q 受験はいかがでしたか?

現役で合格できましたが第2志望の大学でした。振り返ると私は第2志望ばかりです(笑)。私はすぐに調子に乗っちゃう性格なので第2志望がちょうど良いのかもしれません。

大学時代

Q 大学でも剣道を続けたんですよね?

はい。主な理由としてはやはり高校の剣道部での不完全燃焼が大きいです。体育会は技術面も体力面もついていけそうになかったので、体同連(体育同好会連盟)の剣道部に入りました。体同連は監督がいなくてメンバーが自分たちの指導方法を持ち寄って教え合うような雰囲気でした。初心者の人も歓迎で、楽しく剣道が出来ました。

Turning Point

大学時代2 〜 世界一周の船旅

Q 他に大学時代の思い出はありますか?

大学2年生の夏に3ヶ月かけて船で世界一周するというクルーズに参加しました。その時の出会いや経験はその後の私の人生にとってかけがえのないものとなりました。たまたま同じ大学の同じゼミの子も乗っていて親友になり、卒業旅行も二人でインドにバックパック旅行をしました。

Q 参加のきっかけは何だったのですか?

幼い頃から同居していた祖父が、お年玉やお小遣いは二十歳になるまでちゃんと貯金しておくようにとずっと言っていて、ちゃんと真面目に貯金していたんです。そして二十歳になる時、溜まっていたお小遣いを何に使おうかなと思ってこのクルーズを見つけました。

ー かけがえのない時間、大事な親友、それらはお金を貯めておくように幼い佐藤さんに勧めてくれたお祖父様のおかげなんですね。素直に貯金していた佐藤さんも偉いですね。

確かに祖父のおかげですね!今まで考えたことがありませんでした。

Q このときの船の旅は佐藤さんの人生にとって大きな意味を持ったんですね?

はい。この頃はまだ高校時代に人間関係が上手くいかなかったことを引きずっていて、最初は船で共に過ごす人たちと上手くやっていけるか心配もありました。でも幅広い年代の方々とご一緒して「自分は自分のままでいいんだ」と思えたのが大きかったです。たまたまバイトで塾の英語講師をしていた私が船旅の間、60歳くらいの同行者の方々へ英語を教える機会もあり、それがきっかけで帰国後も英語は一生懸命勉強しました。本当に色々なきっかけになったと思います。

Q 就職についてお聞きしていきます。佐藤さんは大学4年生の時にアルバイトしていたIT企業で大きな影響を受けたそうですね。

はい。その会社の社長さんには色々なことを教えていただきました。その会社のビジネス上必要となる株、FX、クレジットカード、保険の知識、それから私が担当していたSEOを考えたコンテンツ作り、ライティングなど。今でも役立っています。

就職活動

Q おそらくそのときの体験が今独立してフリーランスとして働いている佐藤さんのベースになっているんでしょうね。

その会社の社長さんにはとても影響を受けました。他にも独立されている方のお話を飛び込みで訊きに行ったりしました。そうしたら就職活動をしていても、どうしても大企業に就職する気が湧いて来なくて、漠然とですが、何か自分の力で切り開いていくようなことに思いが向かっていました。いつか起業してみたいな、と思うようになってきたんです。その話を先ほどのアルバイト先の社長にしたところ社員としてお誘いを頂き、その会社に入社することにしたんです。

就職

Q なるほど。僕もそうだったので分かる気がします(笑)。僕の場合は気づくのがもっと遅かったのですが。。でもその会社も2年ほどで退職されたんですよね。何かプランがあったのですか?

自分が興味を持っていたWeb制作について、実はちゃんと学んだことがなかったので、一度専門学校に行くことにしたんです。

退職して専門学校へ

Q なかなか日本では一度就職した人が学びに戻ることが少ないのですが、その発想は僕は素晴らしいと思います(注: コラム参照)。長い目で見て必要なスキルを身につけるという姿勢は大事ですよね。

半年間の超集中コースでした。イラストレーターやフォトショップの使い方なども含んだものでした。お陰さまで専門学校が修了した2009年5月の翌月にはWeb制作の会社から連絡が来て就職することが出来ました。

転職1 - 日経産業広告社

Q その後、ご友人の誘いで転職されたそうですね。

はい。Web制作のことも分かり、新しいところで力を試してみたくなりました。友人に誘われて入社した日経産業広告社では新規顧客獲得の営業も体験しました。それが思いの外楽しかったんです。自分は人付き合いが苦手だという思いもあったのですが、実は人と会うのがとても好きなんだと気づきました。営業が楽しかったというこの経験がきっかけで「独立できるかな」と思えるようになりました。

転職2 〜 楽天

Q その後楽天に転職されましたが、理由はなんだったのですか?

その頃はすでに独立を考えていました。私は大手で働いたことが無かったので大企業組織を経験しておきたかったのと、将来的に「大手に所属していた」というブランドが独立した時に役立つかなと思ったからです。楽天ではID決済の部署にいました。みんなバリバリ働く雰囲気で自分にとてもあってました。ただちょうど結婚のタイミングも重なって、メチャクチャ忙しかった時期でもありました。

Turning Point

独立 〜 Web制作のフリーランス

Q そしてついに独立されたわけですが、だいたい予定通りでしたか?

いえ。思っていたより早かったです。楽天ではもっと長く働く予定だったのですが、その時はたまたま忙しすぎて、結婚もしたばかりで大変だったので、夫婦で考えて独立して一緒に仕事をしようということになりました。

ー ご夫婦で独立ですか。楽しそうですね。

元々夫も独立したいと言っておりまして、私が先に退職してその5ヶ月後に夫も退職して現在の2人体制になりました。私は主にワイヤーフレームや広告を担当していて、夫がデザインやコーディングを行います。

Q 独立されて生活に変化はありましたか?

かなり劇的にQoL (Quality of Life) が改善しました。収入もむしろ増えたくらいですし、働く時間もコントロールできるようになり、夫と一緒ですから家族で過ごす時間も当然増えました。本当にフリーランスになってよかったと思いました。

Q まだ会社化はしていないんですね。

実は夫と共にオランダに移住して向こうでビジネスをしようと考えていまして、敢えて日本では会社は作っていないんです。

Turning Point

オランダ移住

Q なぜオランダなのですか?時期は?

時期は来年2017年の2月を考えています。ある記事に、オランダは個人事業を立ち上げやすく住みやすいということが書いてあり、それから興味をもつようになりました。実際に下見にも行ってみて、実際にとても良かったんです。下見の時に現地で開業している人の話も聞いてきました。

Q なんか楽しそう(笑)。佐藤さんのようなお仕事でしたら今の時代はどこにいても仕事できますからね。剣道はどうされるんですか?

実はオランダに行くのは剣道の道場の子どもたちへのメッセージでもあるんです。自分が気に入っているフリーランスという働き方を見てもらいたいと思っています。フリーランスの良さの一つは場所を選ばないということですから、海外から仕事をしている様子を見せたいな、と。オランダに行ったらWeb制作以外の仕事もしてみたいと思っています。物販だったり、現地の人達に剣道や日本文化を教えたり。それは行ってみてから考えます。

ー オランダ生活楽しみですね。落ち着かれたらまた近況を教えて下さい。どうもありがとうござました。

どうもありがとうございました。