レポート: 未来スケープ発足の背景(3) 〜 一本道で一方通行な日本の教育

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一本道で一方通行な日本の教育

画一的な日本の現状は大学生の社会人比率にも現れています。

下記のチャートは世界各国(OECD加盟国)の大学の生徒数に関するデータで、全生徒に占める社会人の割合を示したものです。平均が20.6%なのに対し、日本ではわずか2.7%となっています。つまり日本の大学の新入学生は、ほぼ全員が高校を卒業してすぐに入学した生徒だということです。他の国を見てみると25歳以上の入学生、つまり社会人となった後に大学に戻る人が多いことが分かります。彼らは社会に出て仕事をし始めて自分の本当の興味ややりがいに気づき、それに対する知識の欠如を認識して学び直すという行動を起こしています。

日本人は世界でもとりわけ自分の興味に対して先見性が高く、間違いのない選択をすることができる、ということなのでしょうか。それは現実的な答えとは思えません。そうでないのなら何故大学に戻らないのか。

理由の1つとして、日本では大学型高等教育機関が職業に直結するような実践的カリキュラムになっていない、ということがあるでしょう。日本の大学は学術に特化しており実践的なことは学べないという現実あるいはイメージがあるため、社会に出た人が学び直しの必要性を感じたとしても大学が選択肢に入らないのかも知れません。一方その割に、受け皿となるビジネススクールが少ないということもあるでしょう。(後述しますが就職先の企業でそれを学ぶ仕組み、新人研修がビジネススクール的な役割を担っているのも理由の一つです)それ以上に影響しているのは、就職した会社を退職することが一般的でない上に、一義的な幸福像から考えた場合にメリットが少ないからなのかも知れません。

 

文部科学省資料「我が国における高等教育をめぐる現状等」より(*ソース

 

 

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